定款とは?

定款とは何でしょうか。ビジネスで定款という言葉をときどき聞くことがありますが、くわしく説明できる人はそれほどいないのではないでしょうか。
 定款とは「会社などの社団法人の組織活動の根本規則」と定義づけられます。難しい表現ですが、要するに、定款とは会社の最も重要な規則を定めたもののことをいいます。このことから「会社の憲法」と呼ばれたりもします。
 さて、この定款ですが、会社を作る場合には必ず作成しなければなりません。そして、株式会社の場合には定款を作るだけではダメで、さらに公証役場で公証人の認証を受けなければならないことになっています。「公証役場」を知っている方はあまり多くないと思います。  公証役場は公証人が働く事務所のことをいいます。公証人というのは、法務局に所属する国家公務員で、通常は公証役場で定款の認証をはじめ、、公正証書(簡単に言うと、国のお墨付きの契約書や遺言書)の作成を業務として行っています。公証役場は全国各地にあります。このサイトでも所在地を紹介していますので、近くの役場を探してみてください。
 なお、定款を認証してもらえるのは、会社を設立しようとする都道府県内にある公証役場です。例えば兵庫県で会社を設立するには、兵庫県内の公証役場で認証を受けなければなりません

 

 

定款の作成方法

電子定款を一般の個人の方が作ることは難しいのですが、従来の紙の定款であれば一般の方でも作成することはそれほど難しくはありません。

このページでは、電子定款ではなく、「紙の定款をご自分で作成したい」という人のために、定款の作成方法及び認証方法について説明します。

■定款に記載する事項について考える

定款に記載する項目には次の3つのカテゴリーがあります。

・ 「絶対的記載事項」

・ 「相対的記載事項」

・ 「任意的記載事項」

まずはこれら3つの項目について説明していきましょう。

<絶対的記載事項>

「絶対的記載事項」とは、会社の根幹となる最重要事項のことで、絶対に定款に記載しなくてはいけない項目のことです。

この「絶対的記載事項」が抜けていると、定款が無効になってしまうので、注意が必要です。

絶対的記載事項の内容は以下の通りです。

●商号

商号とは会社の名前のことです。

定款に記載する際には(株)●●●●と略したりすることはできません。最近では英語表記もあわせて定款に記載するケースが増えています。

◆具体的記述例

当会社は株式会社日本商事と称する。

●会社の事業目的

設立する会社が行うビジネスの内容を書きます。

ここに記述する内容は、設立後すぐに取り組む内容だけではなく将来行ってみたいビジネスを書いても構いません。

事業目的を記述する際には次の3点について記述します。

1明確性

2適法性

3営利性

◆具体的記述例

当会社は次の事業を営むことを目的とする。

1 インターネットを使ったマーケティングリサーチ業

2 ソフトウェアの開発及び販売

3 上記各号に附帯する一切の業務

●本店(本社)の所在地

本社を置く住所のことです。

本店の所在地の記載方法については2つの方法があります。

・最小行政区域での表示

・正式な住所表記

◆具体的記述例(最小行政区域での表示の場合)

当会社は本店を東京都板橋区に置く

◆具体的記述例(正式な住所表示の場合)

当会社は本店を東京都板橋区日本6丁目3番5号に置く

●設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

会社の設立に際して出資者から出資してもらおうとしている財産の総額または設立に際して出資者に最低限出資してもらおうとしている額のいずれかを記載します。

◆具体的記述例

当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金200万円とし、この全額を資本金とする。

●発起人の氏名または名称および住所

発起人の意味について

多くの方は発起人という言葉を聞き慣れていないと思います。

そこでまずは発起人の意味ついて説明します。

堅苦しく説明すれば、発起人とは株式会社の設立にあたって、定款の作成、資本金の払込、設立登記に関する事務手続等の業務を行う者のことを言います。また、定款に署名を行うことで、正式に発起人と位置づけられます。

しかし、実際は「会社の資本金を出す人のこと」と言った方しっくりします。「資本金を出した人=発起人」といってもいいでしょう。

発起人と取締役は同じ人でも違う人でも構いません。一人で会社を立ち上げる人の場合では必ず「発起人=取締役」となります。

発起人と取締役の関係について、わかりやすいように次に具体的例をい挙げておきました。

★株式会社日本商事を資本金500万円で設立する場合

パターン1

日本太郎さんが500万円全部を出資し、経営も自分が行う場合。この場合、発起人は日本太郎さんで取締役(代表取締役も)も日本太郎さんということになります。

パターン2

日本太郎さんが500万円全部を出資するが経営には参加しない。経営は鈴木次郎さんが行う。この場合、発起人は日本太郎さん。取締役は鈴木次郎さんということになります。

パターン3

日本太郎さんと鈴木次郎さんが250万円ずつを出資。しかし、経営には参加するのは鈴木次郎さんのみ。この場合、発起人は日本太郎さんと鈴木次郎さんの2人。取締役は鈴木次郎さんのみ。

パターン4

山日本太郎と鈴木次郎さんが250万円ずつ出資し、経営には二人が参画する。

この場合、発起人は日本太郎と鈴木次郎さん。取締役も日本太郎と鈴木次郎さんということになります。また、この場合は取締役が2人いるので代表取締役を決める必要があります(代表取締役を2人置くこともできます)

いかがでしょうか?

発起人と取締役の意味がお分かりになったでしょうか?

発起人の住所・氏名について

発起人の住所・氏名は印鑑証明に記載されている通り、一字一句同じように記載して下さい。決して略したりはしないで下さい。公証人の認証がおりません。

◆具体的記述例

発起人氏名     日本太郎

発起人住所     兵庫県姫路市花田町12345

引き受け株式数   100株

払い込む金銭の額  金500万円

●発行可能株式総数

発行可能株式総数とは、定款を変更することなく、将来に渡って発行が可能な株式の総数のことです。会社設立時の発行株式数のことではありません。発行可能株式総数と会社設立時の発行株式数を混同される方が多いのでご注意ください。

会社設立時の発行株式数とは、例えば資本金が500万円だとします。そして、1株当たりの金額を5万円(1株当たりの金額は自由決めることができます。多くの方は5万円または1万円とする方が多いようです)とした場合500÷5=100 となり、会社設立時の発行株式数は100株となります。

発行可能株式総数の設定方法には次の2つのパターンがあります。

1)会社が発行する株式に株式譲渡制限をつける場合

※株式の譲渡制限については、次項の「株式の譲渡制限の有無について」をお読みください。

株式の譲渡制限を設ける会社の場合は、発行可能株式総数に制限がありませんから自由に設定できます。1000株とする方が多いようです。あくまで自由に設定してくださってかまいません。

2)会社が発行する株式に株式譲渡制限をつけない場合

株式に譲渡制限をつけない場合には原則として「設立時発行株式数の4倍以内」という決まりがあります。

会社設立時に1株5万円の株を100株発行したとしましょう(この場合資本金は500万円ということになります)この場合は発行可能株式総数は100×4=400となり400株以内の数字が発行可能株式総数となります。

<相対的記載事項>

「相対的記載事項」は、定款に必ず記載しなければならないものではありませんが、記載すれば法的効力が出る事項であり、その内容は多岐にわたります。

相対的記載事項の一例を次に記載します。

●変態的設立事項に関するもの

変態的設立事項とは、株式会社の設立に際して現物出資・財産引き受け、会社の負担になる設立費用、発起人が受ける特別利益や報酬が定められる場合をいいます。

例:金銭以外の財産を出資する者の氏名または名称、当該財産およびその価額ならびにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数

◆具体的記述例

発起人の氏名、住所及び設立に際して割当てを受ける株数並びにこれに払い込む金銭の額は次の通りである。

発起人氏名     日本花子

発起人住所     兵庫県姫路市御着12345

引き受け株式数   800株

払い込む金銭の額  金300万円

A前項の株数のうち現物出資をする者の氏名、出資の目的たる財産、その価格及び、これに対して与える株式数は別表の通りとする。

●株式の譲渡制限に関する規定(譲渡制限株式発行に関する規定)

会社側の望まない株主の出現を防止することを目的とする株式の譲渡について、会社の譲渡について、会社の承認を必要とする旨の記載。この承認機関についても定款で定めることができます。

◆具体的記述例

当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない。

●株券の発行に関する規定

新会社法では株券の発行については原則不発行です。しかしあえて株券を発行したい場合に記載。

◆具体的記述例

当会社は株式に係る株券を発行する

●基準日に関する規定

基準日とは会社が一定の日を定めて、その日現在の株主名簿に記載または記録されている株主に対し議決権の行使や、配当の受け取りができると定めた場合、その基準となる日のことをいいます。

◆具体的記述例

当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において株主の権利を行使すべき株主とする。

A前項の規定にかかわらず、毎事業年度末日の翌日から定時株主総会の前日までに、当会社の募集株式を割り当てられ、または吸収合併もしくは株式交換、吸収分割により株式を割り当てられ株主となった者は、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができるものとする。

B前各号の他必要がある場合には、取締役の過半数の決定をもって2週間前までに公告して臨時に基準日を定めることができる。

●取締役、監査役、会計参与の任期

取締役、会計参与の任期は選任後2年以内、監査役の任期は選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までを原則とします。しかし株式譲渡制限会社では定款に記載することでこの期間を10年まで伸長することができます。

◆具体的記述例

取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうちの最終のものに関する定時株主総会終結の時までとする。

A任期満了前に退任した取締役の補欠として、または増員により選任された取締役の任期は前任者または他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。

<任意的記載事項>

任意的記載事項とは絶対的記載事項や相対的記載事項をは違い、定款に記載しなくても取締役会の決議などでその効力を発生させることができる事項です。一例を次に記載します。

●公告の方法

株式会社は決算等の内容を広く公開しなくてはいけません。これを公告といいます。

たとえ一人で運営されているような規模の小さな会社でもこの義務は生じます。

公告には決算公告の他に「資本の減少」「準備金減少」「合併」「会社分割」などがあります。

また公告の種類には「官報に掲載する方法」「日刊新聞に掲載する方法」「電子公告」の3つの種類があります。

◆具体的記述例

当会社の公告は官報に掲載してする。

定款を作成したら、本店(本社)所在地を管轄する法務局か地方法務局所属の公証人役場へ行って、認証を受けなければなりません。

定款は、この認証を受けてはじめて有効となり、登記申請の資格を得ることになります。

●定時株主総会の開催時期

定時株主総会とは決算期などに定期的に行われる株主総会のことです。

◆具体的記述例

当会社の定時株主総会は、毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集し、臨時株主総会は、必要に応じて招集する。

●株主総会の議長

株主総会で議長を務める人は開催ごとに株主総会で決めることができます。しかし、あらかじめ一定の役職(取締役など)が議長となる旨を定めておけば議長の選任を毎回行う必要はなくなります。

◆具体的記述例

株主総会の議長は、代表取締役がこれに当たる。

A代表取締役に事故があるときは、取締役の過半数の決定をもって他の取締役がこれに代わり、取締役全員に事故があるときは、出席株主のうちから選ばれた者がこれに代わる。

●取締役・監査役の員数

定款には取締役や監査役の員数を記述することができます。

なお、取締役会設置会社の取締役は3名以上という決まりがあります。

◆具体的記述例

当会社の取締役は3名以上を置く。

●事業年度

1年以内で、任意に1事業年度を決めることができます。

当会社の事業年度は毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。

■定款を作成する

定款に記載する項目が決まったら次は実際に定款を作成します。

定款を作成するさいには多くの方はWordをご利用になっているようです。定款を作成するためのソフトに決まりはありませんのでご自分が一番使いやすいソフトを利用すればよいでしょう。また手書きでも構いません(このような方は今はほとんどいませんが)

具体的な様式については日本公証人連合会のホームページを参照してください。

http://www.koshonin.gr.jp/index2.html

定款が書きあがったらプリントアウトし製本します。

プリントアウトする用紙には特に決まりはありませんが一般的にはA4またはB4のコピー用紙にプリントアウトすることがほとんどです。またプリントアウトする際には白黒で構いません。

プリントアウトができたら製本に移ります。3部作成します。

製本の方法は袋綴じかホッチキス留めにします。そして用紙の継ぎ目に割り印を押印します。

出来上がった定款のうち一部には4万円の収入印紙を貼ります(電子定款であればこの収入印紙代の4万円は不用になります)

■定款認証のため公証人役場に行く

●誰が行くのか?

認証を受ける場合、基本的に、株式会社の場合は発起人全員、有限会社の場合は社員全員が公証人役場に行かなければなりません。

しかしながら、発起人や社員が複数いて全員で認証を受けにいくことが難しい場合は、発起人や社員の中から代表者を選び、その代表者が代理人となって行ってもよいことになっています。

また、専門家などの第三者に依頼し、代理人として認証を受けることもできます。

ただし、代理人が行く場合は、委任状が必要となります。

●持参するもの

以下のものを持って、公証人役場に行きます。

・定款3通

・発起人・社員全員の印鑑証明書

・実印

・委任状(発起人・社員全員が役場に行けない場合〕

・収入印紙(4万円)、認証手数料(5万円)、謄本交付手数料(定款1枚につき250円)

・代理人の印鑑および印鑑証明書(代理人が発起人・社員以外の場合)

●認証の手続き

定款認証用の必要書類を公証人役場に提出すると公証人が内容を確認し、訂正があればその場で指摘し、訂正してくれます(重大な記載ミスなどがあった場合は、定款を再度作成するように言われることもあります)。

問題がなければ、定款3通のうち収入印紙を貼付した1通を公証人役場が保存し、残りの2通が返却されます。

その内の1通は後日会社設立登記の申請時に使用し、もう1通は会社保存原本となります。

いかがでしたでしょうか?

時間をかければ思ったほど大変ではありませんから、あせらずにゆっくりと構えて作成されてみてはいかがでしょうか